書名 歌文集 禍福
著者 奥山 酔朴
発行日 2022年6月30日
この本を亡き赤木賢而氏に捧ぐ
荷を下ろし片道の旅彼岸花
主亡き部屋にこほろぎ鳴き尽くす
生き急ぎ独りの散華銀河濃し
(奥山酔朴)
あとがきによれば、
長年短歌結社「迯水」を運営していた渓声出版社長赤木賢治氏が2021年8月末に
急逝し、月刊誌「迯水」は同年9月号通巻533号を以て途絶えた。
*ということで、長い歴史を刻んだ短歌結社「迯水」は惜しくもその歴史を閉じた。
赤木賢治氏はもとより、多くの「迯水」会員さんの無念さは考えるだに辛い。
本来ならば「迯水」叢書として渓声出版さんより上梓されたであろうこの書は、
(有)大国印刷さんにて印刷されて発行された。
2020年2月からのコロナ禍は今も形を変えながら続き、はっきりとした収束時期はいまだ読めない。奥山氏のこの歌文集は、作品だけではわからない多くの文学者の人間模様を調べて纏めているので、どの文学者から読み始めても面白い。「ええッ」とか、
「どっきり」、「へー」とか、文学作品から読者が勝手に作り上げていた文人像が変わるかもしれない面白さがある。そして、著者の短歌は社会詠が多く忘れがちな世の中のニュース短歌に残している。永らく続けてきた短歌をこれを以てやめるそうだ。同時に続けてきた俳句は1月から12月迄の作品として発表し、今後も続けるようだ。
短歌一つもまともにできずとうの昔に俳句は諦めたこちらとしては、よく長い間両方を続けてこられた奥山氏の力量に脱帽だ。
そのほかに著者が上梓されたご本のを挙げて置くので、どこかでご覧ください。
「風雲去来』『生き方交差点』『明日無き今日』『縁と運 阿吽』