書名 俵万智 史上最強の三十一文字
KAWADE夢ムック 文藝別冊
発行 ㈱河出書房新社
発行日 2017年6月30日 初版
一日を全部自分に使える日 書き継いでゆく牧水の恋
ポストまで朝の散歩をしておればカバン持つ人みな急ぎ足
短歌を知らない人は簡単そうだと読むが、知ってる人はその短歌の陰に隠れた工夫などを考える。
簡単そうに見えて簡単ではない俵万智の短歌。
初めてご本人を見たのは、ある大学の舞台の上での対談だった。
客席から見上げる彼女は遠いが、きらりと輝いていた。
思った通りの聡明で可愛い声の印象だった。
真っ黒な紙にライトが当たり、反射していた。
あとでその時の印象を詠んだ私の短歌。
万智ちゃんを初めて見たの真っ黒な髪に天使の輪が輝いている
同時代を生きている俵万智は、研究対象にするには私には無理すぎる。
それだけ広範囲で深いアンテナは張れない。
俵万智も好きだけど、やはり私の尊敬する一番の歌人は齋藤茂吉だ。
勿論、俵町の短歌を真似ることもできないけれど、齋藤茂吉の短歌を真似ることはさらにできないことだ。できることは自分流の勉強を重ねて自分流の短歌を紡ぎ出すだけだ。齋藤茂吉の短歌は、私には難しすぎて理解できないものもたくさんある。
だからこそ、研究するやりがいもある。
しかし、短歌の世界で俵万智の功績はとても大きい、それは短歌を詠む人ならだれでも実感していることだ。コロナ禍をへての現在の短歌ブームにも大きく影響を与えている歌人だ。