104 中里富美夫歌集 百四歳の春
書名 歌集 百四歳の春
著者 中里富美夫
発行所 文芸四季の会
発行日 令和6年(2024)5月1日
今年5月に104歳を迎えた中里先生の歌集だ。
若輩の私共にはわからない未知の世界の境地、
青草という俳号を持つ著者は、毎日俳句1句・短歌1首を心掛けている。
その中から選んだ短歌であるという。いくつか紹介しよう。
幾たびか辛酸を経てようやくに百四歳の峠に至る
茶寿という夢のほかには財産も地位も名誉も我は望まず
楚々と咲くいとしき花の名はアザミ心の花と決めて久しき
歌枕尋ねる旅を果たせずに足弱りしは口惜しきかな
自分史を書けばそくそくと湧きてくる幼きころの父母の恩愛
私にはまだ見えぬ先の先の世界、戦争という厳しいものを乗り越えて、
今は九四歳の独居を楽しんでおられる。
いやあ、私は自分史先へ筆が進まずにいるがやはり甘えているなあ。
この酷暑の日々を
どうぞうまく乗り越えてお元気でいてください。