大好きな短歌

今日も大好きな短歌を楽しみましょう。頂いた歌集や歌書などを紹介します。

77  歌文集 禍福

書名     歌文集 禍福

著者    奥山 酔朴

発行日    2022年6月30日

 

  この本を亡き赤木賢而氏に捧ぐ  

      荷を下ろし片道の旅彼岸花

      主亡き部屋にこほろぎ鳴き尽くす

      生き急ぎ独りの散華銀河濃し

                      (奥山酔朴)

 

 あとがきによれば、

 長年短歌結社「迯水」を運営していた渓声出版社長赤木賢治氏が2021年8月末に

 急逝し、月刊誌「迯水」は同年9月号通巻533号を以て途絶えた。

 

*ということで、長い歴史を刻んだ短歌結社「迯水」は惜しくもその歴史を閉じた。

赤木賢治氏はもとより、多くの「迯水」会員さんの無念さは考えるだに辛い。

本来ならば「迯水」叢書として渓声出版さんより上梓されたであろうこの書は、

(有)大国印刷さんにて印刷されて発行された。

2020年2月からのコロナ禍は今も形を変えながら続き、はっきりとした収束時期はいまだ読めない。奥山氏のこの歌文集は、作品だけではわからない多くの文学者の人間模様を調べて纏めているので、どの文学者から読み始めても面白い。「ええッ」とか、

「どっきり」、「へー」とか、文学作品から読者が勝手に作り上げていた文人像が変わるかもしれない面白さがある。そして、著者の短歌は社会詠が多く忘れがちな世の中のニュース短歌に残している。永らく続けてきた短歌をこれを以てやめるそうだ。同時に続けてきた俳句は1月から12月迄の作品として発表し、今後も続けるようだ。

短歌一つもまともにできずとうの昔に俳句は諦めたこちらとしては、よく長い間両方を続けてこられた奥山氏の力量に脱帽だ。

 

そのほかに著者が上梓されたご本のを挙げて置くので、どこかでご覧ください。

「風雲去来』『生き方交差点』『明日無き今日』『縁と運 阿吽』

 

 

 

 

 

 

 

76 歌集 青熒

書名   歌集 青熒   響叢書第42篇

著者   綾部光芳  響短歌会主宰(88歳)

発行日  2022年10月17日

発行所  角川文化振興財団

発売   ㈱KADOKAWA

定価   本体2,600円税別

 

  たにあひをひたすら行き来する夜の青熒のいのちをあはれむべきに

                       青熒  二首

  かすかにもともるひかりを惜しみつつ過ぎゆくときをいとほしみつつ

 

 

  帯より引用 歌は光、微かな光。

        静かに点ればともるほど、

        その光はしみじみと心の奥に広がってゆく。

        穏やかな日常に差し込む折々の光を、

        平明に描き出す第9歌集。

   

 

 

 

                           

 

75 歌集 水晶のしづく

書名   水晶のしづく    迯水叢書第141篇

著者   渡良瀬愛子

発行日   2020年12月15日

発行所   渓声出版

定価    本体1800円+税

 

 

      紫陽花をひとつ手折らば水晶の千のしづくの光り弾けり

 

 

 

74 現代万葉集 日本歌人クラブアンソロジー2022年版

書名   現代万葉集 日本歌人クラブアンソロジー2022年版

編者    日本歌人クラブ

発行日    2022年11月30日

発行所    短歌研究社

定価     本体2,727円税別

 

     特設項目   続・新型コロナウィル関連

 

  日本歌人クラブ会長 藤原龍一郎氏の「はじめに」にョり一部引用

 

  ー短歌は喜怒哀楽のグラデーションを表現する詩形です。どのような状況の中でも

   短歌は生まれます。今、私たちが生きているこの時代に息づく短歌を、ぜひ、読

   み味わっていただきたいと思います。 令和4年10月

                    日本歌人クラブ会長 藤原龍一郎  ー

 

73  赤木賢而氏追悼集

書名   赤木賢而氏追悼集

発行人  赤木賢而氏追悼集編纂有志一同

発行日  令和4年3月10日

定価   1000円

 

    

  市村創刊の「迯水」編集に長年携わっていた渓声出版社長の赤木氏が急逝された。

    ご冥福をお祈りします。

  コロナ禍の時代ですっかり日常生活が変わってしまった感があるが、出版という

  一つの仕事をなし続けた赤木氏を慕う多くの方々の追悼文が載っている。

 

 

   

72 結城千賀子歌集

書名    結城千賀子歌集   現代短歌文庫第163回配本

著者    結城千賀子

発行日   2022年1月26日

発行所    砂子屋書房

定価     本体2,000円+税

  

       さうさうと青葉風吹くこの坂の既視感あるいは父の記憶か (結城詠)

)

       寺多き麻布の町に道源寺の脇坂上り師宅に通ひき   (磯幾造詠)

 

       

 

     斎藤茂吉の高弟の一人山口茂吉の弟子磯幾造が結城のお父上だ。

     そのお父上が主宰した「表現」を編集発行している。また、

     「斎藤茂吉を語る会」の講演などの様子を毎回会報へまとめる。

71 歌集 薔薇祭  

書名    歌集 薔薇祭   短歌新聞社文庫

著者    大野誠

発行日   平成4年7月10日  初版

      平成5年4月20日  再版

定価    本体667円税別

     

      永遠の平和をねがひ薔薇献ぐ祭あり西洋の小さき国に

 

     (戦後3年間の作品だ。映画館で見た平和を祝福する「薔薇祭」の実況を見

      た大野はその感動の形見に、歌集にその名をつけた。)